2014.05.22

カンボジア医療ミッション報告

今回のカンボジア医療ミッションでは、例年行っている医療ボランティアに加え、新たな試みとして浄水装置を建設する事業も行いました。また空飛ぶ車いす事業、保健省表敬訪問、JICA訪問も通年通り行いましたのでご報告いたします。

【浄水装置建設事業】
プノンペンから車とフェリーを使って3時間ほどの場所にあるプレップクローバウ学校にて浄水装置建設を行いました。隣接するメコン川は汚れており、清潔な水ではありません。きれいな水を供給することによって病気を防ぐことができるのではないかという観点からこの学校に浄水装置を建設しました。我々が来る1ヶ月前よりJCIカンボジアに依頼して建設をはじめていただいたおかげで、今回のミッション中に完成させることができました。

【医療ミッション】
医療ミッションは2日間行いました。1日目はプノンペン市内から車で2時間程に位置するソペルマンコル学校とラッスメイサマーキ学校に行きました。それぞれ300人程を歯科検診、医科検診、公衆衛生教育、抜歯などの歯科治療を行いました。
医療ミッション2日目は浄水装置を設置したプレップクローバウ学校を再び訪れ、700人程を対象に医療ミッションを行いました。ここはモデル校として複数年に渡り調査していく予定なので、フッ素洗口のやり方や意味などを教師にレクチャーし、我々が帰ったあとも継続してフッ素洗口が行える体制を作りました。

【空飛ぶ車いす事業】
「National Borey for Infants and Children」という障害児孤児院を訪問致しました。児童数は120名ほどで、病院に置き去りにされた子供や、この孤児院に置いていかれた子供たちを預かっているのですが、そのほとんどが障害児とエイズ孤児です。ここで車いすの寄贈を行いその後施設長と会談しました。現在は子供達に普段使う布おむつや外出用の紙おむつ、大人用の衣服(孤児の年齢は上がっており、成人も多数在籍しているため)が不足しているそうです。国家の予算も足りず、またスタッフも不足しているため、ギリギリの生活を送っているそうです。施設の子供達は皆歯が綺麗で虫歯がなさそうだったので施設のスタッフに質問したところ、おやつが予算の関係上あまり与えられない、毎日2回歯磨きをしてあげているとの事でした。

【保健省表敬訪問】
保健省の訪問では次官で歯科医師、歯科部門の長である方と会談をしました。1970年後半にポル・ポト政権が終わった頃には歯科医師はひとりもいなかったのですが、1979年より2013年まで、カンボジア国立大学の歯学科を卒業した人数は750名、私立の歯学科も近年出来て、150人の卒業生がいるそうです。来年よりカンボジアと連携した近隣諸国の間で、自由に開業ができるシステムを開始するとの事でした。また、我々の活動の経緯や目的を説明したところ大変興味を示して頂き、来年以降我々の活動を視察したいとのお話をいただきました。

【JICA訪問】
JICA訪問では、主に現在JICAが行っている水の事業についての説明をいただきました。カンボジア主要8都市の無収水率(配水した水に対して料金を徴収できていない水、盗水や配管漏れの指標となる)は非常に低く、特にプノンペンは6.5%とタイやロンドンより圧倒的に低く、「プノンペンの奇跡」と呼ばれる程水道事業支援が成功しているそうです。一方、都市郊外、農村地帯などはいまだ水道の整備は進んでおらず、雨水・井戸水を飲料や生活用水にしているところが多いそうです。井戸水も決して安全ではなく、土壌由来のヒ素が土壌に多く含まれているため、深く掘りまた井戸の側壁を頑丈に作らないといけないそうです。雨水は大きなカメに貯めて飲料やその他に使うのですが、雑菌が繁殖しているため、お腹を壊したり病気になる危険性が高いそうです。ここでも我々の活動をお話し、ご理解をいただきました。